「年末調整」は、給与の支払を受ける方について、毎月(日) の給料や賞与などの支払時に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めるべき税額(年税額)とを比べて、その過不足額を精算する手続です。 確定申告を必要としない大部分の給与所得者は、この「年末調整」によ り、その年の所得税及び復興特別所得税の納税が完了するため、改めて確定申告の手続をとる必要がありません。
年末調整を行う時期
年末調整は、本年最後に給与の支払をする際に行うことになりますので、毎年12月ごろ〜1月ごろに行います。
なお、退職した場合には退職時、非居住者となった場合には非居住者となったときに年末調整を行います。
会社としましては、11月ごろから扶養控除等申告書などの準備を行います。
給与の支払を受ける方は10月末頃に生命保険会社から生命保険料控除証明書が届くので、保管してください。
年末調整の対象となる人
次のいずれかに該当する人が年末調整の対象となります。
①1年を通じて勤務している人
②年の中途で就職し、年末まで勤務している人
③年の中途で退職した人のうち、次の人
- 死亡により退職した人
- 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期から本年中に再就職ができないと見込まれる人
- 12月中に支給期の到来する給与の支払を 受けた後に退職した人
- アルバイト(パートタイマー)が退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人 (退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる場合を除きます。)
④年の中途で、海外の支店へ転勤したことな どの理由により、非居住者となった人(非居 住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有 しない人をいいます。)
年末調整の対象にならない人
次のいずれかに該当する人は、年末調整の対象となりません。
- 本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
- 左欄に掲げる人のうち、災害により被害を 受けて、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別 所得税の徴収猶予又は還付を受けた人
- 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除等(異動)申告書を提出している人や、年末調整を行うときまでに扶養控除等(異動)申告書を提出 していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者)
- 年の中途で退職した人で、左欄の③に該当しない人
- 非居住者
- 継続して同一の雇用主に雇用されないいわ ゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者)
年末調整の流れ
年末調整は、次のような手順で行います。
扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認
年末調整は、年末調整を行う時までに扶養控除等(異動)申告書を提出している人について行うことになっているため、各人からこの申告書が提出されているかどうかを確かめる必要があります。
この申告書は、原則として本年最初に給与の支払を受ける時までに給与の支払者に提出することになります。
まだ申告書を提出していない人や異動申告をしていない人についても、年末調整を行う時までに申告があれば、その申告に基づいて年末調整を行うことになります。
配偶者特別控除申告書の受理と内容の確認
配偶者特別控除申告書は、「給与所得者の保険料控除申告書」との兼用用紙です。
配偶者特別控除は、年末調整の際に控除することになりますが、この控除は、各人から提出された「給与所得者の配偶者特別控除申告書」に基づいて行うことになります。
配偶者特別控除とは
所得者が生計を一にする配偶者(合計所得金額が76万円未満の人に限ります。)で控除対象配偶者に該当しない場合に、その所得者本人の所得金額の合計額から38万円を限度として控除するというものです。
保険料控除申告書の受理と内容の確認
年末調整の際は、生命保険料控除や地震保険料控除、社会保険料、小規模企業共済等掛金等の控除を行います。
これらの控除は、「給与所得者の保険料控除申告書」に記載します。
この申告書の用紙をあらかじめ各人に配布しておき、年末調整を行う時までに提出を受けます。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の受理と内容の確認
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受けようとする最初の年分は、確定申告をする必要がありますが、その後の年分については、年末調整の際に各人から提出された「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に基づいて控除を行うことができます。
住宅借入金等特別控除申告書には、次に掲げる証明書の添付が必要です。
- その人の住所地の税務署長が発行した「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
- 借入等を行った金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
年税額の計算の手順
一人一人の所得控除と税額控除の額とが確認した後、 給与の総額について納付しなければならない最終的な年税額を源泉徴収簿を作成して計算します。
手順
- 年末調整の対象となる給与と徴収税額の集計
- 給与所得控除後の給与等の金額の計算
- 扶養控除額等の合計額の計算
- 所得控除額の合計額の計算
- 課税給与所得金額の計算と算出所得税額の計算
- 年調年税額の計算
年調年税額を求めるまでの具体的な計算の流れ
年税額を求める具体的な計算は、次の算式に示すような計算を経て求められます。
税額の納付と所得税徴収高計算書(納付書)の記載
①その内容を年末調整をした月分の所得税徴収高計算書(納付書)に記載した上、徴収税額を納付します。
②年末調整の計算が終わり、過納額や不足額の精算をした場合には、その精算をした月分の所得税徴収高計算書(納付書)には、次のように記入します。
- 過納額を充当又は還付したときは、「年末調整による超過税額」欄に、その金額を記入します。
- 不足額を徴収したときは、「年末調整による不足税額」欄に、その金額を記入します。
この場合、「年末調整による不足税額」欄及び「年末調整による超過税額」欄には、実際にその月に精算をした金額を記入することになります。
12月中に精算しきれないで、翌年1月又は2月に繰り越して精算するような場合には、その精算をした1月又は2月の所得税徴収高計算書(納付書)の 該当欄にその金額を記入することになります。
なお、所得税徴収高計算書(納付書)は、過納額を充当したり還付したりしたため、納付する税額がなくなった(「本税」欄が「0」)場合でも、上記の事項を記入して必ず所轄税務署に e‐Tax により送信又は郵便若しくは信書便により送付又は提出してください。
源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納期限について
毎月の給料や報酬などから源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納期限は、次のとおりです。
納期の特例の承認を受けていない場
給料や報酬などを支払った月の翌月10日
納期の特例の承認を受けている場合(給与など特定の所得に限ります。)
1月から6月までの分… 7月10日
7月から12月までの分…翌年の1月20日
納期限までに、「所得税徴収高計算書(納付書)」またはe‐Taxを利用して、金融機関や所轄の税務署の窓口で納付します。上記の10日又は20日が日曜日、祝日などの休日や土曜日の場合は、その休日明けの日が納期限となります。